格闘家の山本KID徳郁(本名・岡部徳郁=おかべ・のりふみ)さんが41歳という若さでお亡くなりになりました。
まだまだ41歳という若さです。
ご本人はもとより、ご家族の方々も本当に本当に、悔しかったと思います。
そう、私自身も今から8年前の2010年8月、腎臓癌を宣告された1人です。
なんの自覚症状もありませんでした。
当時勤めていたお店のお客様に同い年のお客様が居て、そのお客様に胃癌が見つかり、そのお客様の「健康診断には行かなあかんで」って言われた事がきっかけで病院に行きました。
あの一言がなかったら…たぶん僕はこの世にいなかったかもしれません。
健康診断では胃カメラ、CT検査、MRI検査等、受けました。
最後に腹部エコーという検査の時です。
お医者さんが「うん?」「ちょっと…」
なんだか様子が変な感じが、僕にも伝わってきました。
また、MRI検査を行います。
全ての検査が終わり、結果は後日にとの事。
不安はありましたが、家に帰ります。
その時、ちょうど夏休みだったんで東京ディズニーランドに1泊2日で旅行に行きました。
帰ってくると、病院から電話が…かかってきました。
東京ディズニーランドで遊んだ楽しさで、健康診断の事はすっかり忘れていました。
病院からは「健康診断の結果でお伝えしたい事があります」と来院をして下さいとの事。
病院に行くと、泌尿器科の先生の所へ行くようにとの事でした。
泌尿器科の先生は「右の腎臓に影があります」
僕は先生に「それってヤバいですか?」と尋ねると先生は「右腎臓癌です。大きさは4cm未満ですが、早い手術をお勧めします。」
僕の頭の中は「癌=死」というの言葉が駆け巡ります。
泣きながら従兄弟に電話したことを今でもはっきり、覚えています。
僕の父も食道癌で、手術後4年の状態だったので、父には自分が腎臓癌だなんて言えませんでした。
従兄弟以外には誰にも言わず、手術することを決めました。
その健康診断を受けた病院から、神戸市立中央市民病院へ紹介状を書いてもらい、神戸市立中央市民病院へ。
市民病院では泌尿器科の先生にもう一度、精密検査を受ける事を伝えられます。
同じように、検査が始まります。
泌尿器科の先生から伝えられたのは同じ、「右腎臓癌」でした。
そこから手術のスケジュールが決まってきます。
麻酔科医の先生との打ち合わせ、手術は腹腔鏡手術をする事、緊急輸血の場合は云々…
正直、怖さと恐怖で精神的にズタボロです。
2010年10月3日、右腎臓全摘手術でした。
手術時間は13時間、何故長かったというと、胆石手術も行っていたからです。
手術は胆のう摘出、右腎臓全摘。
手術を終え、集中治療室へ運ばれます。
麻酔がきれかけた時、従兄弟の顔と子供の顔とはっきり見えました。
「生きてるんや」「生きてるんや俺」
今でもはっきりと覚えています。
主治医の先生から「摘出した腎臓を病理検査に出します。病理検査の結果は後日に」
丸1日、集中治療室にいました。
翌日、一般病棟に移りました。
病理検査の結果は、癌の種類は腎細胞癌、癌の質はグレード2で、きわめて普通の癌である、進行はt1b、つまり初期の段階である事を伝えられました。
2週間の入院を終え、退院。
退院する時、病院の正面玄関を出る時に号泣したのもはっきり覚えています。
それから月に1回、転移がないか検査が始まります。
術後2年間は月に1回、検査が続きます。
術後3年からは3ヶ月に1回、検査が続きます。
術後5年を無事過ぎると、1年に1回の検査になります。
主治医の先生からは「10年間は経過観察します」と言われましたんで、今で8年目。
あと2年で10年になります。
手術を無事終え、投薬や抗がん剤等も無く、今まできました。元々、腎臓癌は抗がん剤は効かない癌らしいです。
手術を無事終え退院してからも、癌との闘いは続くんです。
「転移、再発」
僕は8年間、何にも無く迎える事ができました。
あと2年、あと2年で癌に勝ったと言えるんです。
癌の告示、入院や検査、癌の手術、退院。
そして転移や再発との闘い、通院や検査。
癌は強いです。怖いです。
患者本人は勿論、家族も苦しめます。
癌と宣告された人しかわからない、癌と闘った人しかわからない事だと思います。
日本人は生涯、2人に1人の方が癌になるそうです。
癌になって、改めてわかった事があります。
命について、家族について、仕事について。
だから健康診断や検査には行って下さい。
めんどくさいかもしれませんが、病院へ検査に行って下さい。
大切な自分の命の為に、大切な家族の為に。
特に小さいお子さんがいらっしゃる方は、命は自分だけのものじゃないんですから。
そして、タバコはやめてほしい。お酒はほどほどに。暴飲暴食は控えて。あまりイライラせずに笑って。野菜もしっかり食べて。塩分は控えめで。早寝早起きも。睡眠時間はしっかりと。バランスの良い食事を。